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秋野ちひろ / 紙と布と金属と

2021年12月12日(日)から12月25日(土)まで、東京・代々木上原のApril Shopで開催されました。


秋野さんは、真鍮を使ってオブジェやアクセサリーを作っているアーティストです。お会いするのも作品を見るのも、今回が初めてでした。


「Pie」

今までは、真鍮を使った作品の展示が中心だったのですが、そこから少し抜け出した様な、この空間だからこその展示作品が新しく仲間に入り、構成されていました。真鍮の作品に加えて、紙と布との異素材を組み合わせた作品がレイアウトされています。過去、作品をご覧になっていた方にとっては、新しい秋野ちひろさんが垣間見られて展示だったのかもしれません。


ご自身も、それは展示場所であるApril Shopを運営されている渡邉紘子さんがいたからこそ、そしてこの空間だったからこそ産み出し、外に出してもいいかなと思うことができたと仰っています。


過去に発表していた「テキスタイル」という作品を、紘子さんが気に入っていたことも一つのきっかけだそうです。


「テキスタイル」


秋野さん自身も、異素材の組み合わせが好きで、混ぜたいと思っていた様です。ただ、発表するところまで気持ちが至っていなかったけれども、その異素材感を受け入れてくれたことや紘子さん自身も作家として布を扱っていたり、紘子さんがファッションがお好きなことなど、二人の調和から、この展示が実現されたのだなと感じました。


紙と布の素材についても、私物、家族の持ち物、友人から譲り受けたもの、作品の制作過程で作品とはならなかった捨てれずに残ったものたちを使っていました。包装紙として保管していた紙、コラージュのやりかけ、ニスを塗ってテクスチャをつけた途中の紙、自宅で使っていた色あせたカーテンなど様々です。





それぞれの作品が独立してあるものの、空間そのものが作品になっていました。秋野さん自身が写真も好きで、風景を撮る時も、光だったり色だったりその窓の中にあるものに反応している事が、過去の写真からも感じました。そういう光景に出くわした気持ちを、写真では表現できないけれども、自分の作品として成立させたらどうなるかという事も考えられていました。


今回の展示で、特に気になったのが、真鍮を一切使っていない塊の作品たち。


展示空間のリズムとして、立体物が欲しかったとのこと。一番最初に、「Book pink」という作品を作られたそうです。


友人の木工作家さんから、気に入った形の端材をもらい、布で包みボンドで貼り付けた作品です。この布は、昔ひとり暮らしをされていた時に、目隠しとして使っていたカーテンの布だそうです。この作品を作った時は、ただの塊だけでは成り立たないかなという不安から、真鍮を組み合わせていたようです。


「Book pink」

ただ、次に「Butter」が完成した時に、不安を手放し、塊のみの作品に確信を持たれた様です。


「Butter」


Book Pink同様に、端材を布で包みボンドで貼り付け、ペンキを塗った作品です。ペンキのテクスチャも気にられているとのこと。


僕のお気に入りは、「Book blue」


「Book blue」

なんとこちらの塊の作品だけ、端材を使っておらず、家族の私物であった麺類百科という本とのこと。端材がなくなって、でも何か作りたいとなった時にちょうど現れた麺類百科。この大きさや形だったからこそ選ばれた様で、その自然な偶然性と淡い色に惹かれました。


作品単体で見るのも楽しいですが、他の作品との調和を意識しながら見ると、より楽しい気がします。事前に計画されたものでなく、設営する際にその時の直感でレイアウトされた事が伝わってきます。



April Shopだからこそ生まれ、放たれた作品たち。この展示のために導かれた異素材の調和。展示期間を通して、作品たちも、窓から差し込む光を浴び、来場された方からの言葉やエネルギーを吸収し、どこか微笑んでいるように感じました。


新しい扉を開けた秋野さん、今後の作品も楽しみです。



----展示について----

「紙と布と金属と」


2021.12.12 Sun−12.25 Sat

13:00 - 19:00


火水木定休







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秋野ちひろ


April Shop



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(ギャラリー紹介文より)


階段を降りると 白い光が小さな空間を満たしています。 AplilShop この美しい場所で何をしよう、、、お話をいただいてからずっと想像してきました。

紙や布と金属の出会いをテーマに展開します。


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