【レポート】小俣裕祐 写真展 " continue " FALL 2022.4.20-24

2022年4月20日から4月24日まで、東京・西荻窪の雑貨店FALLで開催。


2019年以来、3年ぶりの個展の開催。

雑貨店FALLは、店主の三品輝起さんが2005年から東京の西荻窪にて営んでいるお店です。

10年間営業していたお店のビルが老朽化により、移転を余儀なくされ、2015年に現在のこの場所へ移転されてきました。

移転前からお店には行っていましたが、三品さんとは移転してから、話すようになり親しくさせてもらっている記憶があります。お話した最初のきっかけは何か忘れてしまいましたが、知り合いの作家さんの展示だったような気がします。2016年からアートブックレーベルDOOKSのPOPUPを年に1回開催しており、その設営のお手伝いなどで来ていたあたりから、徐々に会話するようになりました。


年に1回かそのくらいの頻度でしから来ていなかったのですが、三品さんが本を出版されて、その本を読むことで会った気になっていたような気がします。


2017年に出版された「すべての雑貨」(夏葉社)


2020年に出版された「雑貨の終わり」(新潮社)

本については、またゆっくりと紹介したいと思います。


2021年9月22日。この日は、2022年の僕を運命づける一日だった。今回の出来事だけでなく、他にもあるのでそれはまた今度。

思い出せないくらい久しぶりに、西荻窪に来た気がする。鈴木いづみさんとそれいゆで打ち合わせ。

FALLへは、その前にふらっと寄った。当時、僕は会社を休職していて、そんな近況を話したりしただろうか。

しばらく話していると、三品さんが、「小俣さん、展示とかどうですか?来年、春とか」と言ってきたので、びっくりした。

内心、「え?僕?」と思った。FALLで写真展?っていうのと、僕でいいのか?と。

その時はしばらく展示をするつもりもなかったし、当時はとても不安定な状況だったので、その場ではお返事をできなかったけど、一晩だけ考えて、やると決めた。

そうして年内しばらくは、自分の身体を休め、人生についてゆっくりと考えていた。会社を退職し、年末に差し掛かったあたりから、展示のことを意識し始める。

年が明けて、そろそろ具体的に準備を始めようと、展示についてMUTEのウミノタカヒロさんに連絡をした。


ウミノさんは、僕が2012年から2014年まで通っていた桑沢デザイン研究所の先輩で、写真家として活動する初めの頃に、写真を見てもらっていた。学校の6階にある工作室でスタッフをしていたウミノさんに、課題の制作の相談をしながらも、写真をやっていることを話していた。

僕のHPを見ながら、「へぇ〜、写真めっちゃいいじゃん!」みたいな言葉をくれたような気がする。後日、また工作室で会った時にも、

「あの後、HPで写真見たけど、めっちゃよかったよ」と言ってくれた。今度は、プリントした写真の束を持っていき、「いいねぇ」と言ってくれ、ここまで自分の写真を肯定してくれる人はいないなぁと思い、とても嬉しかった記憶がある。

卒業する間際に、写真集を作ろうとデザインに悩んでいた時に、今もとてもお世話になるアートブックレーベルDOOKSの相島さんを紹介してくれた。この10年間、写真家として活動していく中で、たくさんの出会いがあったけど、海野さんが、僕の写真人生を切り開く大きなきっかけとなる人で、恩人である。


こうして、1月から展示直前まで、展示内容からタイトル、DM、制作したポスターなどグラフィックに関わる事まで、様々なことに相談にのっていただいた。僕自身もそのように伝えていたけれど、あまり海野さんの意見には引っ張られないようにしながらも、最終的には自分で考えて決めていくようにしていた。その姿勢を尊重してくれ、ぽろっとヒントをくれてあとは自分で考える余地を残してくれたような打ち合わせを何度もした。


FALLで展示をすることが決まった時に、展示や額装方法については、実はある程度決めていた。雑貨店ということと、三品さんの本を読んでいく中で、「写真」を「雑貨」のように手にとってもらいやすいようにしたかった。


展示写真は、こちらにまとめています。


入口すぐにあるテーブルの大きさは決まっていたのと、プリントする写真の大きさも決めていたので、必然と額装する枚数は導かれた。今回をきっかけにポスターを作りたいと思い、その写真が2019年6月、妻とスイスに新婚旅行に行った際、泊まったゲストハウスとそこで友人夫妻と食べた朝食の写真にした。部屋に飾られることを考えて、明るくて幸せな写真が良かったのだ。




そこを起点に、額装する写真もスイス・そしてもう一か国訪れたオランダの写真から必然と選ばれました。その他は、国内で2015年から2022年までの写真からセレクト。


額装した写真以外にも、10年以上同時プリントをして、保管していた写真の中から100枚ほどを選び、設置。写真を撮り続けて10年になりますが、自分で現像をせずにずっと同じ写真屋さんで注文しています。

データが焼かれたCD-Rだけでなく、プリントもお願いしていました。パソコンやスマートフォンなどの画面上で写真を見るだけでなく、プリントされた写真で、自分の写真を見返していました。残すことの大切さはもちろんのこと、画面でみる写真と、プリントでみる写真はまた違う感覚なのです。自分の写真を見つめなおす行為の上で、プリントした写真で「見る」というのはとても大事な感覚です。


展示に来てくださる方にも、その感覚を追体験してもらいたいことや、僕と同世代もしくはそれ以上の年齢の方々にとっては当たり前だったこの行為を久しぶりに感じてもらいたいと思いました。単純に、展示をみていただく上で、お腹いっぱい食べてもらうかのように、たくさんの写真をみていただく事で(人それぞれだと思いますが)、少しでも満足感を味わってもらいたかったのです。



そして、今回の個展にあわせて、アートブックレーベルDOOKSより、「一輪の花」シリーズの特装版を、書き下ろした文章と一緒に展示しました。


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BD Special Edition "一輪の花”


「BD」は、木製フレームと、アクリル、それに挟まれた綴じられていない様々な紙片から構成されています。従来の本の様に手に取ってページをめくるのではなく、壁面に各ページを飾って眺めるような新しい本のかたちとして提案されたものです。今回の展示に合わせ、過去の印刷物と写真プリントによって構成した「一輪の花」を特装版として1点のみ作成しました。


「写真」という二度と取り戻せない時間を見つめる行為と、「一輪の花」を生けて亡き母親に想いを馳せる行為。ふたつの行為が綺麗に重なり合う不思議な感覚と孤独感に包まれたことが、初めて小俣くんの写真に目を留めた理由かもしれない。当人だからこそ、その写真の本当の良 さを客観的には理解しきれていないような気もしていて、それ故に真っ直ぐで魅力的なものになっているように思える。 DOOKS 相島大地


Size:W 31.5 × H27.2 × D9.6 cm

Material:Veneer, Acrylic, Paper

Production date: April 2022


Design

西尾健史

相島大地



2015年、同じ西荻窪にある" a small shop "にて、「一輪の花」シリーズの初個展を開催しました。今回の個展開催が決まり、先に"continue"というタイトルをつけたときには、「一輪の花」シリーズを展示をするとは決めていなかったのですが、色々と思い返す中で、7年の歳月を経て、場所は違えど同じ西荻窪で展示をすることになったことは、きっと地続きになっていることの一つで、写真家としての核の一つとなるこの作品をあらためて展示しようと決めました。


5日間という短い期間でしたが、色んな方にご覧いただく事ができました。毎日在廊していましたが、あっという間でした。

嬉しい再会や新しい出会いもあり、店主の三品さんともたくさん話しました。作品や作品集もたくさん旅立っていき、独立して初めての個展で作家冥利に尽きるとはこの事だなと実感しました。


最終日、展示の搬出作業をしていると、電話がかかってきた。画面には「父さん」と表示されている。作業中だったので、出なかった。少し落ち着いたので、かけなおすも、出なかった。

搬出作業を終えて、帰路につき、JRの新宿駅のホームで電車を待っていると電話がかかってきた。

展示行けなくてごめんなという内容だった。展示がどうだったのかとか他愛もない会話をした。

父親というものは、子供の事についてよく覚えていて関心があるという、理想が僕の中にあるせいで苛立ちを覚えるのだけど、僕の父は、通っていた高校の名前や、僕の誕生日もあやふやだし年齢もちゃんと覚えていない。誕生日だからといって特に連絡はしてこないし、そんなに僕に関心がないのだと思っている。

ただ、こうして、展示最終日に連絡してきてくれたのはなんだか嬉しかった。


今回の展示の巡回展を、8月に大阪で予定しています。また決まりましたら、お知らせいたします。






----展示について----

" continue "


2022.4.20 Wed − 4.24 Sun 13:00 - 19:00

月火定休

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雑貨店FALL

東京都杉並区西荻北3-13-15 1F http://fall-gallery.com/ instagram:https://www.instagram.com/fall_mishina/ - (DMより)

「変わらないもの

移ろうもの

消えていくもの

すべて僕だと信じています」

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9月28日水曜日。東京都近代美術館にて開催されているゲルハルト・リヒター展へ行った。 今週末10月2日(日)が展示最終日ということもあって、混雑していた。 1時間毎の整理券で入場人数を制限していて、美術館には14:00頃着いたけど、15:00-16:00の整理券を配り始めていたところで、近くの毎日新聞社が入っているビルで暇をつぶして、14:30頃から並び、会場に入れたのは15:00頃だった。 リヒ