ゲルハルト・リヒター展
9月28日水曜日。東京都近代美術館にて開催されているゲルハルト・リヒター展へ行った。
今週末10月2日(日)が展示最終日ということもあって、混雑していた。
1時間毎の整理券で入場人数を制限していて、美術館には14:00頃着いたけど、15:00-16:00の整理券を配り始めていたところで、近くの毎日新聞社が入っているビルで暇をつぶして、14:30頃から並び、会場に入れたのは15:00頃だった。
リヒターについて深い知識があるわけでもないし、作品集も持っていない。もうメルカリで売ってしまったけど、「ゲルハルト・リヒター 写真論/絵画論」を読んだ事があるけど、全然頭に入って来なかった記憶があるし、何が書いていたのかも、1mmも思い出せない。
リヒターを知った当初から、写真をやっているせいか”フォトペインティング”のシリーズは好きで、今回初めて、それらの作品をこの目でみることができた。日本では16年ぶりの開催で、ここまでの規模でみれるのも、この先ないかもしれない。この後、10月15日(月)から愛知県の豊田市美術館へ巡回するとのこと。
展示を一通りみた中で、“ヴァルトハウス”という作品が強く印象に残った。
リヒターが休暇のときに家族とよく訪れていたスイスにあるホテルだ。
自分で写真を撮っていないので、美術手帖のweb記事のリンクを貼っておくので、ご覧いただきたい。
作品の解説の言葉を借りると、森が画面全体の3分の2に覆われていて、人間の存在を示唆するそのホテルは自然に飲み込まれてしまっているかのようにほとんど見えない。右端にホテルらしき建物が描かれているが、一見すると山と森の絵だと思う。
リヒターは、「自然は絶対に非人間的で意味も恩籠も同情も知らない」と突き放した言い方で述べている。
解説にも同じようなことを書いているけど、人間は自然というものを自分たち人間の感覚に引き寄せて美化していると思った。この絵をみたときの何ともない普遍性を表現しているリヒターはすごいなぁと思った。
今の世の中は、ウソとかごまかしとか人間が人間を欺いたり、物事を美化しているように感じる情報が溢れていて、何が本当なのかよくわからない。個展も終わり、燃え尽きた矢先、心が洗われた気がする。
今の世の中は多様性が騒がれているけど、そんなの当たり前な気がする。でも多様性の中にも、普遍的でほんとなんでもない、普通のこととかそういうことを大事にしていきたい。
写真もありふれていて、どこか綺麗で整っていて一見「いい写真」が多くなった気がする。
その中に、(完全に自分の感覚での見方だけど)なんでもないとるにたらないと感じる写真を目にすると、嬉しくなる。
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