写真を撮ることを意識し始め、10年が経ちました。初めてSTATEMENTを書いて公開してから10年間、僕自身の変化もあり、写真に対する考え方も変化してきました。
「写真」に対する一般的な認知もかなり変わったと思います。僕だけでなく、これをご覧になっている皆さんにとっても、そうなんじゃないかと思います。
おそらくこれを見ているほとんどの方は、スマートフォンというデバイスを毎日持ち歩き、写真を撮っていると思います。写真を撮ることが当たり前のようになってきて、且つ、ソーシャルネットワーキングサービスの普及にあたり、撮るだけでなく、共有することも普通となっている。内容は何にせよ、日々誰かの切り取られた瞬間を覗き見ることができるようになりました。同様に、僕自身も、スマートフォンでも写真を撮るし、SNSに発信していました。
10年の節目に、果たして、「写真」とは僕にとって何なんだろう。改めて自問自答してみることにした。
「写真」に関する技術や立ち位置が変わっても、僕自身は「写真」に対する意識は、根本的に変わっていないと感じています。頑なになのか、ずっとcontax T2というカメラだけでしか撮っていないし、ずっと同じ写真屋さんにいき現像・プリント・データ化をしてもらっている。人の写真が写っていれば、焼増しプリントしてあげたり、作品となる写真は、プリントして額装して展示をしたり、写真集に生まれ変わっていた。
日々生活する中で、誰かのためではなく、自分のために写真を撮り続けていました。SNSにもどちらかというと、カメラで撮った写真をあげることに躊躇していることが多かった気がします。展示や写真集などで、きちんと届けたい気持ちがあったので、あまりさらっと自分の写真をインターネット上に晒すということは、どこか引け目を感じていた。
とはいえ、展示に来ていただいたり、写真集を購入いただいた方には、その後の活動やその後どのような写真を撮るのか気にしていただいている方もいらっしゃるので、その人たちのためには、届けたいなと思って、2021年になってからは、インターネット上でも作品を見せる機会が増えた気がする。
ちょうど2年前にサービスの終了とともに一度閉じたHPを、この10年の節目に再開することにしました。特に理由はなく、たまたまこのタイミングでしたが、また次の10年も写真を続ける意思表明みたいなことかもしれません。
大きな心境の変化としては、フィルムにも拘らず、これからはデジタルでも写真を撮ろうと思えたことです。ある写真の依頼を受けた時に、この内容は、フィルムよりデジタルの方が、ちゃんと「残せるな」と思ったからです。フィルムでないといけない理由が見当たらなかったのです。
とはいえ、僕なりの視点を切り取れる「道具」でないとしっくりこないと思ったため、時間をかけて吟味し、そのようなカメラを手に入れました。どちらにせよ、僕にとっては「残す」ことが大事な気がしています。だから、新しい武器を手に入れる事ができた感覚がしました。
これからは、自分のためだけではなく、誰かのために、「残す」お手伝いと言ったら痴がましいかもしれないけど、そんな事をする10年間にしたいなと思っています。
また10年後は、どんな世の中になっているでしょうか。そんなことは想像もできないけど、この10年も、その瞬間や時間を残していきたいと思うことには変わりありません。このHPを作ったwixというサービスが継続してくれることを願います。